教員生活

9月入学は実現可能?メリットとデメリットを元中学教員がわかりやすく解説

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世は新型コロナウイルスで自粛自粛自粛……。

さとる
さとる
いやぁ、そろそろ家と近所のスーパーと散歩コースの行ったり来たりも飽きてきましたね(涙

もっともそんなぜいたくも言ってられない…。

この瞬間も奮闘されてる医療関係者の方々には本当に頭が下がる思いです。

そんな中、にわかに降ってわいてきた「9月入学」問題。

9月入学制、文科相検討を示唆(ヤフーニュース)

学校の年度初めを9月からにするという、かなり思い切った政策。

果たして本当に実現可能なのでしょうか?
9月入学のメリットとデメリットを整理してみました。

さとる
さとる
こんにちは、元中学教員
小学校1年生と1歳のこどもがいるさとる(@SatoruTeacher)といいます。

元教員、そしてこどもを持つ親という立場から
もし導入するとなった場合の教員の方々の現場での混乱や、保護者の不安についてもよくわかるつもりです。

デメリット

・就学年齢や生まれ月をどこで区切るのか

・就職活動や企業の年度始まりも9月からにするのか

・コロナは9月までに収束する保証はない

メリット

・世界の多数派に合わせることができる

・留学が増える、国際競争力がつく(かも)

・夏休み期間中に次年度の準備ができる

以下、論点をわかりやすく整理してみました。

この記事を読んでくれた人の不安が少しでも解消されることを願っています。

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9月入学にするデメリット

9月入学デメリット

就学年齢、生まれ月をどこで区切るのか?

たとえばアメリカでは、9月から翌年8月末までに生まれた子どもたちを1学年とします。

じゃあ、日本も同じように区切りまーす!
となると……

現在4月ー翌年3月で区切っている児童・生徒はどうするのか?

・いったん学年を解体して、4ー8月生まれの人を1つ上の学年とくっつけるという案もあるようですが、今まで慣れ親しんだ友達と「はーい、明日から違う学年でーす」と言われてうまくなじめるものでしょうか?

・現行何年生から適用するのか?

という問題点がでてきます。

この課題をコロナウイルスで学校現場も、そして社会全体が大混乱している今の状況で解決することは可能なのでしょうか?

かえってこども達にとって不利益になる気がします。

就職活動や企業の年度初めも9月はじまりにするのか?

9月入学 企業現在、日本の企業の多くは4月始まり3月を年度末としています。

会計年度の締めや株主総会、さらには人事異動なども上記のスケジュールに基づいてガッツリ固定されています。

教員の人事異動も4月ですよね。

日本という国の仕組み事態を抜本的に変える事態になります。

そもそもコロナウィルスは9月までに収束するのか?

9月始業式

2020年4月末現在の状況ですが

・コロナウィルスのワクチンが開発・実用化されるまでがんばっても半年はかかる。

・そこから一般に普及が進むのにはさらに時間がかかる。

・今後、秋から冬にかけて第二波、第三波の感染流行が起こる可能性あり。

政府のいう「9月入学」はコロナ収束ありきで話が進んでいるように感じます。

さとる
さとる
希望的観測だけで物事をすすめてもいいのかな??

もし、9月以降また全国的に学校休校ということになれば改革を進めてもムダに終わる可能性もあります。

9月入学にするメリット

では、9月入学にするメリットはどうなのか見ていきましょう。

9月入学 デメリット

世界標準に合わせることができる

「世界をみるとほとんどの国が9月入学なんだよ、日本は遅れてるんだ」

「これを機に9月入学にすればいい」

という人もいますが、実際にはどうなのでしょうか?

学校の新年度のはじまりがどうなっているのか見てみましょう。

開始月主な国
1月31ヶ国(14%)オーストラリア
3月13ヶ国(6%)韓国
4月7ヶ国(3%)日本、インド、パキスタン
9月116ヶ国(54%)アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、中国など

出典:東京大学「入学時期の在り方に関する懇談会」

表をみると、確かにG7といわれる先進国はドイツ以外すべて9月入学です。

ここ10年で経済成長力をつけて勢いのある中国も9月ですね。

4月はじまりは7カ国(3%)と思ったよりも少数派でした。

留学が増える?国際競争力がつく?

世界の主要国に合わせることにより、日本の学生の留学がしやすくなる。

あるいは海外からの留学生を受け入れやすくすることで、多様な人材が日本にくるようになる。

という人もいます。

東京大学も10年前に9月入学に切り替えようとしましたが、頓挫したという出来事もありました。

確かにアメリカの高校を卒業して日本の大学に進学しようとしても半年間待たないといけない。

スムーズに留学ができるのは日本という国の人材育成においてメリットになるでしょう。

夏休み期間中に次年度の準備ができる

9月入学 メリット

長期休みのスケジュールが現行のままという仮定にはなりますが。

7月後半から8月末という一般的に長い夏休みをはさむことで、余裕をもって新年度の準備ができるというメリットがあります。

なんせ、現行の3月から4月への新年度の移行は殺人的に忙しい。

異動がからむとさらにやっかい、春休みなんてあってないようなもんですからね。

夏休み期間中に次年度の準備ができるのは、メリットになることでしょう。

9月入学に反対している学生もいる

2020年5月1日現在で約2,000名の署名が集まっております。

9月入学に賛成の立場

小池都知事や吉村大阪知事は9月入学に前向き

5月1日現在、都知事や大阪知事は9月入学に前向きの立場をとっています。

一連のコロナショックで存在感を増している東京と大阪の知事が賛成していることで、にわかに現実味を帯びてくるかもしれませんね。

ちなみに安倍首相や荻生田文部科学大臣も「検討の余地あり」との発言をしています。

9月入学賛成の署名

大阪市の有志の高校生が9月始業賛成の署名を集めています。

こちらは、5月1日現在で20,000人以上の賛同を得ています。

反対の人たちより多いですね。

ちなみにスポーツ報知がHP上でとったアンケートによると

賛成 55.9%(423人)
反対 44.1%(334人)

と賛成がやや優勢、という結果になっていました

一斉留年ののち、9月入学

今年は全学生(幼児も含めて)1年留年。

来年から9月入学とするという案です。

あと1年4ヶ月あればコロナショックもなんらかの見通しは立っている可能性があり、個人的にはなかなか興味深い意見かなと思います。

1年留年で4月入学というのも、選択肢としてはありますね。

ただし留年すると、どこかの学年(もしくは幼児)でダブリが生じるので、将来的に入試や就職活動などで競争激化が生じる可能性が高いです。

9月始業式、抜本的な改革は時期尚早では!?

9月入学はあちらを立てればこちらが立たずでかなり厳しい状況。

僕はゆくゆくは9月入学にしてもいいかなと思っていますが、コロナの状況下あと4ヶ月でこの政策を実行するのはかなりムリがあると思っています。

「オンライン学習網を整備すればよい!」
との声もありますが、実態に合っているのでしょうか?

我が家にも小学一年生の長男がいます。

タブレットにつないで、はいがんばってね、というわけにはいきません。

現状、親がついていてオンライン学習をサポートし、丸付けまで行う。

これをリモートワークしながらやるとか無理ゲーです。

下の娘の面倒を見ながらの場合もあります。

◆解決策!?

・親世代にゆとりを持たせる
子育てのための時短、自宅勤務を幅広く認める

・高齢者層の社会保障費を削り、現役世代の収入補償や教育費にあてる

・オンライン環境がない家庭は、学校での学習を検討

学校に生徒を集めるとなると、感染リスクが伴いますね。
うーむ、難しい。

文部科学省は5月1日に子どもを登校させる際には、小1、小6、中3だけ優先的に登校させようというガイドラインを出しています。

小1、卒業年次の登校優先、休校長期化、全国教委に通知

 

今後日本はアメリカのように、通学あるいは家庭学習での単位認定が選べるようになる。

現に日本でも資金が潤沢な私立校は早くもオンライン授業を取り入れているようです。

そして教育格差はますます広がっていくのではないでしょうか?

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