【2022年2月25日更新版】
ついに決まりました!!
2月25日のNHKニュースより。
・政府は持ち回りの閣議で
・「教員免許更新制」を廃止する法律の改正案を決定
・2022年7月1日からの廃止となる
との情報が入ってきました!
政府は25日の持ち回りの閣議で、10年ごとに教員免許の更新が必要な「教員免許更新制」を廃止するとともに、新たな研修制度を設け、教育委員会に対し、教員ごとの研修記録の作成を義務づける法律の改正案を決定しました。
引用元:NHK公式サイト 2022年2月25日
通常国会…(例年、1月中旬から6月中旬が会期)。
教員はたださえ、多忙、激務、土日のつぶして教材研究や部活指導をしているのに。
さらに10年に1回やってくる教員免許の更新。
正直言って、現場からは批難が山のように出ているこの制度。
他に気になる点についても、上記の記事では触れられています。
・廃止制度が決まるまでに期限を迎える免許はどうなるの?
2022年4月からは必修科目の区分を廃止し、選択科目も含めて自由に選べるようにします
→つまり2022年6月30日までの免許を保有している人は、更新講習は受講しなければならない
・「発展的解消」という言葉を大臣が使っていたけど、どういうこと?
文科省は更新制の代わりに、都道府県教育委員会が行う教員研修やオンライン研修の拡充のほか、研修履歴の記録管理の義務化を検討しています。
つまり、更新制度は廃止になるけど、新しく研修が追加される可能性は高いということです。
スポンサーリンク
・中教審での議論(完了!)
・(廃止が決まった場合)「教育職員免許法」の改正案の国会への提出
・国会で法律が改正される
・施行
の壁が立ちはだかっています。
・教員免許更新廃止への展望
・免許更新制の問題点
・現場の先生たちの生の声
<この記事を書いた人>
現在は企業の採用面接や新人教育も担当しています。
Twitter(@SatoruTeacher)のフォロワーさんは4,500人以上!
おかげさまでたくさんの人とつながることができて嬉しいです。
\転職したら収入ってどうなるの?/
もくじ
教員免許更新制の廃止はいつ?
教員免許の更新制はいつから廃止になるのか?
現在のところ、2022年7月1日からの廃止を目指して国会で審議が進んでいます。
実際に法律の改正が絡んだ場合の、過去の教育行政の実現スピードを見てみましょう!
教員の変形労働時間制(給特法改正)の時のスケジュール
2019年の給特法改正の時は以下のようなスケジュールでした。
・中教審での取りまとめ(2019年1月)
↓
・法案の可決(2019年12月)
↓
・施行(2020年4月から)
中教審で取りまとめてから1年以上経ってますね。
大学設置基準の改正(文科省令)の場合
続いて、大学設置基準を改正した時の文科省の動きをみてみましょう。
・中教審での取りまとめ(2019年7月)
↓
・大学設置基準の改正(2020年4月より施行)
この場合は「文科省が定めた基準」を変えるだけのため法案改正はなし。
国会などの審議を通過する必要はありません。
教育行政制度の改正は年度ごとに区切る傾向があります。
もし2021(令和3年)度の早い段階で免許更新制の廃止を中教審が取りまとめたとしても、その後法案の提出、審議が控えてます。
2021年度に法案が通ったとして、やはり早くても2022(令和4年)度からとなりそうです。
ちょうど該当する時期に制度の谷間にあたる人からは、批難受けまくりでしょうけど。
つづいて、そもそも免許更新制度が生まれた背景と、問題点をみていきましょう。
スポンサーリンク
教員免許更新制が生まれた背景
2000年頃から、日本の学力は低下してきているとの論争や、教員の質も問題が議論されてきました。
マスコミによる教員の不祥事の報道(特にわいせつ関係)もそれに拍車をかける形となります。
「大学でいったん教員免許をとったら、あとは一生有効でいいのか?」
「教員の質の低下が続くようでは、我が子を安心して学校に預けられない」
公務員である教員に対しての世間の風当たりも強く、長期休暇中は教員も遊んでいるのでは? との指摘もありました。
そのような声を受けて、2007年に教育職員免許法が改正され、2009年4月から免許更新制が導入されています。
教員免許更新制で不祥事は収まったのか
実際に免許更新制を導入することで、教員の不祥事は収まったのでしょうか?
答えは、ノーです。
2019年に懲戒処分等を受けた教職員は4,677人(全体の0.51%)。
内訳をみると、交通違反・事故等が2,487人
体罰等が550人、個人情報紛失・漏洩などが313人。
そのうちわいせつ行為などで処分された教員は273人。その他の理由(同僚とのトラブルや副業など)1,054人。
2010年度からの推移で見てみると、わいせつ行為などで処分された教員はむしろ増えています。
ちなみに2018年は過去最多の282人を記録。
むしろ、教職のなり手がいない→教採試験の倍率の低下→教員の質が下がっている、ため不祥事が多いと指摘する専門家もいます。
免許更新制で教育の質は向上したのか?
教育の質って抽象的な言葉なので数値化しにくいと思うのですが、
やはり、学校=勉強を学ぶ場所ということで、国際学力調査における日本の成績推移を見てみましょう。
国際学力調査と日本の順位
2009年からの日本の成績推移を見てみると、数学的応用力と科学的応用力は比較的高い水準を維持しています。
が、読解力についてはむしろ順位が下がっていることが見てとれます。
学力調査を見る限り、教育の質は横ばいかむしろ下がったといえるでしょう。
教員免許更新制は多忙な教員をさらに圧迫する
この免許更新制ですが、現場の先生たちからはすこぶる評判が悪いです。
・ただでさえ研修が多いのに、さらに30時間の研修するなんておかしい
・約3万円の研修費用および交通費などが全て自腹なのが納得できない
・(主な開催日程の)せめて夏休みくらい休ませてくれ
教員はただでさえ研修が多い
教員は初任研に始まり、2年目研修、3年目研修、10年目、そして管理職向けなど、年次や職務に応じてさまざまな研修があります。
校内研修や研究授業などもありますよね。
また、英語教育やキャリア教育、プログラミング教育など、指導要領が変わるたびに研修があります。
例え、免許更新制を廃止したとしても、教員は決して長期休暇中に遊んでいるわけではないのです。
教員免許更新が自腹なのが納得いかない
職務上必要ならば、雇用主の方で経費として出すべきでしょう。
北海道や離島などは、そもそも1日でいける範囲に免許更新講習がある大学がなく、泊まる際のホテル代まで教員の自腹という話も聞きました。
実は労働法上は職務上必要な経費を労働者の負担とすること自体は違法とはなっていません。
しかし多くの企業では、業務上必要な研修費用は会社負担となっています。
不動産関連に勤める知り合いも、職務上に必要な宅地建物取引士の更新費用はすべて会社負担だそうです。
夏休みくらい休ませて
ただでさえ普段は過労死寸前までに多忙な教員の世界。
主に免許更新研修が開催される「夏休みくらい休ませて」という意見もごもっともです。
せめて長期休暇中くらいは、研修もあるけど一般企業よりも長めの休みが取れる。
家族や仲間との時間を大切に過ごす。
旅行や読書に時間を費やす。
自由な時間でリフレッシュする。
人間としての成長が、教師としての魅力を作るのだと思います。
自分が好きな先生は
・浪人してたり
・大学留年してたり
・一度民間経験してたり
・謎の無職期間があったりと寄り道してる人が多い
一度寄り道した人って
「こうあらねばならない!」
ってこだわり少なくてユルくて他人にも寛容な気がするパンパンな入れ物よりも
少しの余裕が人としての器を作る— さとる@教師からの転職 (@SatoruTeacher) September 7, 2019
教員免許更新制は即刻廃止すべき
・そもそも教育の質や教員の質の向上に効果がない
・免許更新研修以外にも、教員にはさまざまな研修がある
・多忙な教員をさらに圧迫してしまう
上記のような理由から、僕は教員免許更新制は即刻廃止すべきだと考えています。
文部科学省のプロジェクト「#教師のバトン」にも、免許更新制については抜本的に見直しを図る。との記載があります。
すでに導入から10年以上が経過しており、遅すぎるくらいです。
教育職員免許法の改正は無事に成し遂げられるのか?
2022年度から廃止となるのでしょうか?
今後も動きがあり次第追記していきます。