「聖職のゆくえ」ってご存知ですか?
教員Twitterかいわいで大変話題になっているテレビドキュメンタリー番組です。
【#聖職のゆくえ 関西・東海 放送決定 !!! 】#菅田将暉 さんのナレーションでも話題になりました、教師の働かせ放題=#給特法 を描いたドキュメンタリー番組が…いよいよ関西・東海でも放送です!
●関西テレビ
9/11(水) 深夜2:55〜 ※9/12早朝●東海テレビ
9/23(月) 深夜1:50〜 ※9/24早朝 pic.twitter.com/Y6EmLp8zZJ— 斉藤ひでみ/現職教員 (@kimamanigo0815) August 24, 2019
福井テレビの開局50周年を記念する特別番組。
FNSドキュメンタリー大賞にノミネートされた作品で、教員の長時間労働の実態を投げかける力作。
ナレーションは、ドラマ「3年A組~今から皆さんは人質です~」で主演の教員役をつとめた菅田将暉さん。
前から楽しみにしていたのですが、ついに関西でも放映されました。
今回は「聖職のゆくえ」のあらすじと元教員の僕が見た感想、教員の働き方改革について記してみます。
*記事中の画像はすべてフリー画像を使用しています。
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もくじ
聖職のゆくえの感想「教員の過労死」
熱血教師だった夫は40歳で亡くなった
最初のシーン、遺影に花をそなえる、工藤祥子さん。
2007年6月25日。横浜市立あざみ野中学校の教員だった工藤義男さんは、くも膜下出血でこの世を去った。
学年主任、生徒指導専任、さらにサッカー部の顧問、進路指導なども行っていた工藤さん。
念願の教師になった息子は、過労が原因で自殺した
福井県若狭町の上中中学校の新任教諭だった嶋田友生さん(当時27歳)が2014年に長時間過重労働が原因で自殺。
父親が、嶋田さんの残した日記帳を胸に、想いを述べていく。
かつて「聖職」と呼ばれ地域の文化人、教養人として一目置かれる存在だった教員。
ところが現在では、過労死や求職の増加、さらに採用倍率の低下に歯止めがかかっていない。
「聖職のゆくえ」福井テレビが中学校へ密着
番組では教員の働き方の実態にせまりたいと、さまざまな学校へ取材への協力要請をしたが、どこからもよい返事がもらえない。
なんとかならないかと、ディレクターの母校、福井市立足羽中学校へ向かったところ、なんとか協力許可をもらえた。
教員の実際の出勤時から授業、そして放課後。
卒業・新学期までカメラが密着し、教員の長時間労働の実態にせまっていきます。
校長先生の英断はすばらしい。
作中で宿泊学習をなくすかどうかも議論されていることから、働き方改革に熱心な学校であることが現れてますね。
「聖職のゆくえ」給特法成立の背景
給特法とは
●時間外勤務手当は支給しない
●給与月額の4%の教職調整額として支給する
●校長が教員に時間外勤務を命じることができるのは、4項目かつ臨時・緊急時のみ
という内容の給特法が成立したのは、1971年。
日教組は当初反対していましたが、「教員の超勤は命令しない、きちんと抑制していく」との国の方針をうけて、賛成に回ります。
こうして、今でも学校の教員を苦しめている給特法が成立。
実質的な定額働かせホーダイは、今でも続いています。
ミュンヘンの教訓…権力が強大になると
僕がこの話を聞いて思い出したのが、第二次世界大戦の時のミュンヘン会談。
当初ヒトラーは、ズテーテン地方(チェコ)の割譲を要求。
連合国は「ドイツはこれ以上領土を拡大しない」との言葉を真に受けて、これを受け入れます。
しかし、その後ドイツの戦線は拡大し、戦火はヨーロッパ全体に広がりました。
強大な権力は一度受け入れるとどこまでも要求してくる。
一度受け入れてしまうと、どんどん無力化されてしまう。
(僕はどちらかというと教員の労働組合活動には否定的なのですが、それまた別の機会に…)
「聖職のゆくえ」全国放送へ
広がる「聖職のゆくえ」の放送地域
すでに #給特法 #変形時間労働制 などについて教員のTwitterかいわいやブログなどでさまざまな発信がなされています。
番組を一緒にみていたうちの妻(民間企業に勤務)は涙ぐんでいました。
教員の働き方改革は、教員だけではできません。
文部科学省、各自治体の教育委員会、保護者、そして生徒、地域のひとびと。
そして、だれもが教育の恩恵を受ける。あるいは受けた。
主体者となる可能性があります。
教育かいわい以外にも、意見を広げていくことが大切。
そういった面でも「聖職のゆくえ」はとても意義のあるドキュメンタリー番組でした。
当初、福井でのローカル放送だったものが、全国のテレビ局で少しずつ放送されるようになっています。
これもさまざまな先生たちの声が実を結んだ一つの例だと思っています。
僕も元教員で民間企業へ転職した身ですが、微力ながらこれからも発信を続けていきます。
ご意見・感想などは、管理人さとるのTwitter(@SatoruTeacher)までぜひお寄せください。
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